新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したとされる松江市の立正大淞南(しょうなん)高校では、感染した多くの生徒が寮生活を送っていた。寮は集団生活のため、感染拡大のリスクがつきまとう。学校や会社などの寮では、感染防止策に苦労している。
立正大淞南高校では10日までに生徒89人に新型コロナウイルス感染が確認されており、このうち82人がサッカー部専用寮の2棟に住んでいた。寮生計122人の約3分の2に感染が広がっていたことになる。11日、厚生労働省のクラスター対策班の2人が調査に入った。
同校によると、寮は計7棟あり、サッカー部専用寮、野球部専用寮、一般寮、女子寮として4カ所に分散している。2棟からなるサッカー部専用寮に、風呂と食堂は一つ。生徒は2人1部屋(8畳)で、舎監の教員が1人常駐しており、共用部の換気やアルコールでの消毒作業は、教員と生徒が協力して実施していた。
発熱など、体調不良者が出た場合は、別の部屋に移動させて、同居者にうつさないように対処していたという。また、遠征などで県外に出た部員については1週間、検温結果を記録していたという。
4月以降、学校側は感染防止策として、共用の風呂と食堂では、できる限り部員が密にならないように、時間を分けて利用するように呼びかけていたという。ただ、食堂、風呂とも、一度に利用できる人数を具体的には設定しておらず、利用時間の制限も設けていなかった。上川慎二教頭は「食事をたくさん食べることは成長のために必要。風呂で体をケアすることも重要で、感染対策のために時間を短く区切る指示はしていなかった」と説明する。
11日未明、松江市役所で記者会見した同校の北村直樹校長は「大きな集団感染になったことをおわび申し上げる。生徒に落ち度はなく、学校の感染対策の不備に起因する」と陳謝した。(浪間新太)
学生寮に広がる危機感
「新型コロナは、これをすれば100%防げるという対策がない。どの学校でも流行は起きうるのではないか」。大阪市天王寺区の興国高校サッカー部の内野智章監督(41)は11日、松江市の高校の寮生らの感染判明を受け、危機感をあらわにした。
興国高の寮では、サッカー部員ら約80人が2人1部屋で暮らす。寮の食堂に入る人数を半分程度にして、混雑しないようにした。発熱などの症状がある生徒は寮の個室で生活してもらう。寮生の湯谷杏吏(あずり)さん(18)は「もしかしたら次は自分かも、と不安になった。自分がかかったら他の寮生にも迷惑をかけてしまうし、これまで以上に予防を気をつけたい」と話した。
明徳義塾高校(高知県須崎市)の野球部員を含む590人が暮らす同校の寮では、コロナ対策で朝と夕方の1日2回の検温を実施。寮の他の部屋に遊びに行くことも禁じたという。寮の食堂では対面して食事をとってきたが、感染対策のために片側のイスを全て撤去して全員が一方向を向いて食べる方式に変えた。寮が個室の仙台育英学園高校(仙台市)は、共用だったトイレ・シャワーの各個室への取り付けを休校中の4月半ばから始めた。現時点で学校所有の六つの寮のうち三つで完備され、残りの寮も順次進める予定という。
計約1200人の中高の生徒のうち、半数以上が県外出身者のラ・サール学園(鹿児島市)は感染対策のため、13~16日のお盆休みの生徒の帰省を禁じた。普段の外出も近隣のコンビニなどに限っている。
4人部屋が基本の山口県立大の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル